ケーススタディ 電子定款の認証について初めから教えてください

    第2日目 電子定款の認証


        
お問い合せ
Home

依頼者 公証人

はじめに  公的個人認証サービスから発行された電子証明書(住基カードのICチップに格納)を利用して定款の電子認証を受ける場合について,以下順にその手順などをご説明しますが,準備しなければならないのは次のものです。
 これを頭に置いて読み進めてください。

 ・インターネットに接続しているWindowsパソコン
 ・ICカードリーダライタ
 ・電子証明書が格納された住基カード
 ・WORDなどのワープロソフト
 ・Adobe Acrobat
 ・利用者クライアントソフトのダウンロードとインストール
 ・申請用総合ソフトのダウンロードとインストール
 ・署名プラグインソフトのダウンロードとインストール




 こんにちは!
 公証人に教えられたとおり区役所へ行って住基カードを交付してもらい,これに電子証明書を焼き付けてもらいました。簡単にもらうことができましたよ。

 そのとき,係の方から,「公的個人認証サービスポータルサイト」というWebサイトから「
利用者クライアントソフト」というソフトウエアをダウンロードしてパソコンにインストールするように言われましたので,そのとおりにやりました。

 これでいつでも電子文書に署名したり,電子定款の認証を受けることができるんですね。


 「利用者クライアントソフト」とは、
公的個人認証サービス(JPKI)を利用した電子認証の申請など行うときに住基カード(ICカード)に記録された電子証明書を利用するためのソフトウェアです。
 これをインストールしておかないと住基カードでは電子署名できません。言わば,パソコンと公的個人認証サービスをつなぐ橋渡し役ですね。

 また,このソフトをインストールしますとパソコンのProgram File の中に「公的個人認証サービス」というホルダーができます。
 このホルダーの中には
JPKI利用者ソフト」というソフト
ユーティリティ」というホルダー
があります。

 「
JPKI利用者ソフト」では,住基カードに格納されている自分の電子証明書を見たり,電子署名したりすることができます。ただし,電子公証ではこれを利用した電子署名はしません。
 「ユーティリティ」の中には
 ・
ICカードリーダライタ設定(買ってきたICカードリーダライタの登録)
 ・
Java実行環境への登録(特に操作する必要はない)
 ・
パスワードの設定(住基カードで電子証明書を入手したときに設定したパスワードの変更)
を行うソフトが入っています。

それでは,まず電子文書に電子署名する方法からご説明しましょう。

 パソコンは Windows で動くものを使っていて,インターネットにも接続しているそうですからここまでは問題ありませんね。パソコンは32ビット機でも64ビット機でも構いません。OSはXP以降のものをお使いください。

 まずは,WORDで定款案を作ってください。
 なぜ,一太郎でなくWORDかと申しますと,前回ご説明した Adobe Acrobat は一太郎形式の文書をサポートしておらず,PDFに変換できないのです。もっとも,一太郎で作ってWORDファイルに変換して保存すれば問題ありません。

 定款案はいろいろな文献で紹介されていますが,まだ作ったことがない方は,日本公証人連合会ホームページで定款のひな形が公開されていますからこれを利用したらいかがでしょうか。

 下のボタンをクリックしますと日本公証人連合会で作成した定款記載例をダウンロードできるページへ進むことができます。



 前に紙の定款を作ったときにこのひな形を使わせてもらいました。
 今日は,新しく作った定款案をCDに保存して持参しました。
 
 この定款案にどうやって電子署名するのでしょうか。



 まず,電子署名する電子文書は,PDFという形式で保存されたものでなくてはなりません。

 その理由は,「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令」第9条第2項により「電子署名の方式等に関する件」という告示が出されており,そこに

(1) 嘱託人が認証を受けようとする情報は,次の形式により作成された電磁的記録とする。
    ・ 10メガバイト以下の電子署名付きPDF形式
(2) 請求をする者が日付情報の付与を求める情報は,次の方式により作成された電磁的記録とする。
    ・ 10メガバイト以下のPDF形式,XML形式又はテキスト形式

と定められているからです。 この認証を受けようとする情報というのが電子定款のことですね。


 分かりました。
 それでは,WORDで作った定款をPDF形式に変換するにはどうしたらよいのでしょうか。
 この前から
Adobe Acrobat というソフトウエアの名が出ていますが,このソフトウエアのことでしょうか?


 電子文書をPDF形式に変換するソフトウエアを使わなければなりませんが,このような機能を有するソフトウエアはほかにもたくさん市販されていますし,ネットで無償で配付されているものもあります。

 PDFファイルに電子署名を付与するためにはPDFに変換するソフトだけでなく,
PDF署名プラグインソフトなどが必要です。これをパソコンにインストールしていないと,せっかく電子証明書を用意してPDFファイルに変換してもそれだけでは電子署名できません。

 そこで,WORDファイルをPDFに変換するソフトとして Adobe Acrobat X Standard Windows というソフトをお勧めしています。価格は3万円前後です。


 
Adobe Acrobatを利用し,かつ住基カードやファイル形式などで提供されている一定の電子証明書を利用する場合には,登記・供託オンライン申請システムが提供するPDF署名プラグインソフトを使用して,PDFファイルに電子署名を付与することができるからです。

 その詳しい説明は,登記・供託オンライン申請システムの 署名プラグイン のページをご覧になってください。


 せっかく住基カードと定款案を作ってきたのですが,まだ用意するものがあったのですね。
 Adobe Acrobat と PDF署名プラグインソフト ですか・・・

 Adobe Acrobat はパソコンショップで買うとして,PDF署名プラグインソフトはどうやって手に入れたらよいのでしょうか?


 法務省の「登記・供託オンライン申請システム」のWebサイトからダウンロードできます。 

 先日,嘱託人が作成した電子定款が認証のために公証人の元に届くには
登記・供託オンライン申請システムを経由しなければならない,とご説明しましたね。

 登記・供託オンライン申請システムは,申請・請求をインターネットを利用して行うシステムです。
 このシステムは,平成23年2月14日から,法務省オンライン申請システムとは別のシステムとして運用が開始されましたが,
電子公証手続も平成24年1月10日からこの登記・供託オンライン申請システムで運用されるようになったのです。

 登記・供託オンライン申請システムを利用するためには
申請用総合ソフトを登記・供託オンライン申請システムからダウンロードしてパソコンにインストールする必要があります。

 申請用総合ソフトとは,申請書作成から,電子署名の付与,送信,電子公文書の取得,データ管理の全ての操作を行うことができ,登記・供託オンライン申請システムで取り扱う手続の全てを行うことができるソフトウェアです。

 この
申請用総合ソフト署名プラグインソフト,それにこれらの手順書はワンセットのような関係にありますから同時にダウンロードしてパソコンにインストールしてください。下のロゴをクリックするとダウンロードできるページを開くことができます。



 ちょっとわからないのですが,私の電子証明書は「公的個人認証サービス」が発行したものですよね。
 その電子証明書がどうして登記・供託オンライン申請システムで使えるんですか? なんか二つのシステムの間で連絡でも取り合っているんですか?


 公的個人認証サービスは認証局の一つですが,他の一部の民間認証局などと共に総務省が整備した政府認証基盤(ブリッジ認証局,GPKI)というものを介して相互に認証されることになっています。

 そのため,認証局は異なる認証基盤の相手を確認するための役割を果たしていて,これにより、個人や企業、自治体、国とがつながり、電子申請や届出を行う仕組みが実現するのです。
 つまり,公的個人認証サービスと登記・供託オンライン申請システムはブリッジ認証局を通じて相互に認証できるようになっているため公的個人認証サービスが発行した電子証明書が登記・供託オンライン申請システムでも署名検証などができるようになっているのです。
 このシステムにより,公証人も政府認証基盤から発行された官職証明(ICカード)で電子認証をすることができるというわけです。


 分かりました。
 登記・供託オンライン申請システムを利用するために申請用総合ソフトが必要ということですね。

 いま,パソコンを持ってきていますのでこの場でダウンロードしてインストールしてみます。
・・・・・
 あ,できました。簡単ですね。 
ID と パスワード も登録しました。

 では,これから近くのパソコンショップへ行って Adobe Acrobat を買ってきます。


・・・・・・
 お待たせしました。すぐAdobe Acrobat をパソコンにインストールします。


 では,早速電子署名をしてみましょうか。

 まず,お持ちになった定款ファイルを次の手順でPDFファイルに変換してみましょう。

Adobe Acrobat を立ち上げてください。
お持ちになって来たCDをドライブに入れてください。
Adobe Acrobat の上部ステータスバーの「作成」→「ファイルから PDF(F)」 を選択してください。
CDの中の定款ファイルを指定してください。

 
これだけの操作で定款のWORDファイルがPDFファイルに変換され,画面にPDFファイルが表示されます。

 ここでいったんPDFファイルを保存してください。
 そのときのファイル名は漢字・ひらがな・半角英数字のいずれでも構いませんが,半角で31文字以内,つまり,漢字ひらがなであれば15字以内でないと電子公証の場合システム上処理できません。ハイフォンやドットなどの記号も使えますが,使える記号の使用には制限がありますのでできるだけ漢字・ひらがな・英数字でファイル名をつけるようにしてください。


 最近よくPDFファイルって聞くんですけどこれはどんなファイルなんですか?


 PDFとは Portable Document Format の略称で、アドビシステムズという会社が開発した電子文書に関するファイルの形です。
 レイアウトソフトなどで作成した文書を電子的に配布することができ、相手のコンピュータの機種や環境によらず、オリジナルのイメージをほぼ正確に再生することができます。今では国際化標準機構によってISO 32000-1として標準化されました。

 ペーパーレス化の有力なツールとしても使われ,資料をどんどんPDFファイルにして保存する,ということは今では珍しくない風景ですね。
 ワープロで作ったファイルをそのままPDFファイルにするのは当然として,印刷物をスキャナーで取り込んでPDFファイルとして保存することも簡単です。

 それから,人名などで第一水準から第四水準までに入っていない文字は外字として作成することになります。
 PDF ファイルで外字を使用し、他のコンピュータでその PDF ファイルを閲覧する場合、外字のフォントを埋め込んで PDF ファイルに変換する必要があります。
 Adobe Acrobat についてくる  Acrobat Distiller というソフト にはフォントの埋め込みに関する設定オプションがあります。
 これらを利用して外字フォントをPDFファイルに埋め込めばきちんと定款上にも表示することができます。


 わかりました。便利ですね。
 では,今作った定款のPDFファイルに電子署名する方法を教えてください。


 先ほど,署名プラグインソフトをダウンロードしてインストールしましたね。
 それでもう電子署名はできるようになっているのです。

 これからご説明する電子署名の方法は,公的個人認証ポータルサイトで説明している方法と違いますので私の説明した方法で電子署名してください。

 では,Adobe Acrobat の上部に表示されているステータスバーから 「ツール」 → 「環境設定」 → 「SignedPDF」 と進んでください。 すると,次のような画面が表示されます。


 この画面で電子署名のいろいろな設定ができます。
 何も設定しなければ,電子署名のロゴ(印影)はAdobe Acrobat であらかじめ用意した 「
」が指定箇所に表示されます。

 これでは味気ないですね。
 そこで,自分だけのロゴを表示させましょう。

 それには,まず,ご自身でロゴを作る必要があります。
 ロゴは適当にデザインしてPDFファイルで保存します。ファイルの大きさは30KBくらいでしょうか。
 そして,上の画面の ↓ の「参照」ボタンをクリックして作ったロゴのPDFファイルを指定するだけです。

 このように簡単に印影のロゴファイルを指定できますので,いつでもロゴを取り替えることも可能ということです。


 わかりました。早速トライしてみます。
 これでいよいよ電子署名ができるんですね。


 ところが,もう一つ準備が必要です。
 そのために
ICカードリーダライタ という道具が必要です。

 ICカードリーダライタとは、住基カードなどのICカードに記録された電子情報を読むための機器で,パソコンとはUSB端子で接続します。
 ICカードリーダライタは公的個人認証サービスに対応しているものと対応していないものがあります。
 買い求める際は「適合性検証済ICカードリーダライタ一覧」のページから、公的個人認証サービスに対応した正しい機器を確認してください。ほとんどのパソコンショップや量販店で売っています。3000円前後です。

 いまカードリーダライタお持ちではないですよね。

 今回は,私の持っているカードリーダーをお貸ししますからパソコンに接続してください。ドライバーのインストールはほとんど自動的にやってくれます。


 わかりました。
 さっそく用意します。


 お待たせしました,というところですね。
 実は,電子署名も簡単にできるんです。

 さあ,確認事項です。
  ・お持ちのパソコンは
インターネットに接続していますね。
  ・パソコンに
カードリーダライタが接続されていますね。
  ・カードリーダライタに
住基カードが正しい方向で挿入されていますね。

 では始めましょう。
 
Adobe Acrobat に先ほどの定款のPDFファイルを読み込みます。
上部のステータスバーの「署名」をクリックします。
次の画面が出ます。


 電子署名のロゴ(印影)を表示させたい箇所,普通は嘱託人の名前のすぐ後ろにカーソルを置き,マウスボタンで好きな大きさに四角を作ってマウスボタンを放します。
これで電子署名の作業が始まります。

 まずパスワードを入力します。これは住基カードで電子証明書を取得したときに設定したパスワードです。もし,変更していたら最新のパスワードを次の画面から入力します。



パスワードを入力しますと,電子証明書の内容がカードリーダライタから読み込まれ,インターネットを通じて認証局(電子証明書の発行元)に送られ,ここで,電子証明書の内容を検証します。
 そして,真正な電子証明書であることが確認されるとその検証結果がインターネットで送り返されます。この過程は棒グラフのように画面に表示されます。

 これを受けて,ようやく電子署名のゴーサインが出て定款PDFに電子署名がなされ,先ほど作った四角の中に印影のロゴが表示されるのです。
 この間,1分くらいかかることがあります。

電子署名ができましたら,この定款PDFファイルを上書き保存してください。これで同じファイル名で電子署名が済んだ定款のPDFファイルが完成します。


 では,いま教えられたとおり電子定款の私の記名欄の後ろに電子署名してみます。
・・・・
 できました!!
 指定した場所に
のロゴが表示されています。
 忘れないうちに保存しておきます。

 でも, では,これが私の電子署名か分かりませんよね。
 この電子署名が私のものだということは公証人やそのほかのこの電子文書を受け取った人ははどうやって確かめるんですか?


 確かに,ご自身の目で電子署名を確認するだけではなく,電子文書を受け取った人もその電子署名が本人の者かどうか確認する必要がありますね。
 これを「
電子署名の検証」と言います。

 電子文書に付された電子署名がAさんの電子証明書によるものか,Bさんの電子証明書によるものか,見た目には分かりませんね。
 仮に,電子署名のロゴがそれぞれピッタリAさん,Bさんのものであったとしても,先ほどご説明したように,電子署名の印影であるロゴはいくらでも取り替えることができますから,ロゴだけをみても電子署名が,果たして真正なものかどうか,わからないのです。


 もし,私,新宿一郎が,もう一人の発起人池袋二郎さんと一緒に会社を設立したいと思っていたところ,池袋さんは電子証明書を持っていなかったとします。
 そこで,私が,池袋さんの記名の後ろに,池袋さんの名前が入ったロゴを使って私の電子証明書で電子署名したとしたら,電子署名は,私が二人分したことになり,池袋さんの電子署名はないまま公証人の認証を受けることになってしまいますが,公証人はどうするのですか?


 確かに新宿さんが自分の電子証明書で電子署名しておきながら,そのロゴが池袋さんの名前であれば,ロゴを見た人は,池袋さんが自分の電子証明書で電子署名したものだ,と思い込んでしまう危険がありますね。

 そこで,電子定款に付された電子署名がどの電子証明書でなされたものかを確かめることが公証人にとって極めて大切なことなのです。
 そのための一つの方法をお教えします。


 なるほど,公証人はそのようなことも考えてちゃんと対策を立てているのですね。


 電子署名の検証には Adobe Reader というPDFファイルを読むためのソフトを使います。

 Adobe 社から無料で配付されており,誰でも簡単にネットから入手できますので,これを立ち上げてください。

 そうしてから次の順番で進んでください。
 ①電子署名のロゴを右クリック
 ②「選択したハンドラーを使用」をクリック
 ③「署名プロパティ」をクリック
 ④「証明書を表示」をクリック
 ⑤「詳細」をクリックして次の画面(「証明書ビューア」)を表示させる(Adobe Reader X を使用)



 この画面で 「Acrobat主体」をクリックしますと,下の欄に電子証明書の所持者の氏名と住民票上の住所などが表示されますので,この電子署名をした人が電子証明書の所持者かどうかを確かめることができるのです。
 もちろん,この電子証明書が公的個人認証サービスで発行したものであることも確かめられます。


 なるほど,誰でも手に入る Adobe Reader で簡単に電子証明書の内容を確かめることができるのですね。

 これでしたら,私が池袋さんの名前のロゴを使って自分の電子証明書で池袋さんのふりをして電子署名してもすぐばれてしまいますね。
 安心しました。

 ではいよいよ私が作った電子定款に公証人の認証をもらう段階になったんですね。
 登記・供託オンライン申請システムへ申請手続をするんでしたね。


 ちょっと待ってください。

 確かに,電子定款に電子署名できていますから登記・供託オンライン申請システムにできる状態にはなっていますが,電子定款の内容はまだ私はチェックさせてもらっていませんね。

 登記・供託オンライン申請システムに申請して電子定款が公証人のもとに届いたあと公証人が定款の内容を確認してもし訂正箇所があったり,記載が不備だったりしますと訂正はできませんから却下する以外ありません。
 その場合,訂正していただいて再申請していただくことになってしまいますので,
申請前の公証人による定款の事前チェックはどうしても欠かせません。


 では,みなさん普通はどうしているんですか?

 
 まず,定款の認証を受けようとする場合は,嘱託人が自分で作った定款案をファクスかメール添付のファイルで公証人に事前の点検を依頼します。
 多くは,あらかじめ電話で電子認証を受けたいという御依頼がありますので,こちらから事前に定款の内容を点検させてください,と御願いしています。

 
 わかりました。もう電子署名してしまいましたが,よろしかったら,今日持ってきた電子定款を点検していたけませんか。
 訂正箇所がありましたら,直してもう一度電子署名をします。

・・・・・・・

 訂正なしですね。ありがとうございました。
 では,その後の手続を教えてください。


    


 いま申請前に電子定款の内容を点検したように,お送りいただいた電子定款の案を点検して訂正箇所があればお伝えし,また問題がなければ,登記・供託オンライン申請システムにオンライン申請していただくようにしています。

 その場合,大事なことは,オンライン申請は,公証役場に申請するのではなくて,
個別の公証人に申請していただくことになっているため,公証役場とよく連絡をとって,オンライン申請する前にどの公証人宛にオンライン申請したらよいのか確認してください。
 例えば,5月7日(月)に認証希望であれば,その日に公証役場で執務している公証人宛に申請していただかなければなりません。A公証人宛にオンライン申請があったものをB公証人は認証できませんので,5月7日にA公証人が出張で不在である場合は,公証役場の方で,B公証人宛にオンライン申請していただくようにご案内します。

 オンライン申請は,認証を受けるその日のうちにする必要はありませんが,あまり前ですと事前に点検した公証人の記憶もあいまいになりかねませんので,できれば認証を受ける当日か前日くらいにオンライン申請していただくと助かります。


 では,公証人の事前の点検を受けたとしてその後はどうするのですか?
 登記・供託オンライン申請システムにオンライン申請することは頭では分かっているのですが,詳しく説明してください。


 先ほど,申請用総合ソフトをインストールしていただきましたね。
 これを立ち上げてください。 一緒にやってみましょう。

 申請用総合ソフトを立ち上げますと,いきなり ID と パスワード の入力を求められますので,先ほど登録したIDとパスワードを入力してください。
 次のようなメニュー画面が表示されましたね。これが申請用総合ソフトのメニュー画面です。



 メニューの指示に従って次の順番でんでください。

「申請書の作成を行う」
「申請様式一覧選択」から「電子公証」を選択
「電磁的記録の認証の嘱託」を選択

 ③の後,次の画面が表示されます。



 「件名」は自由に記載してください。 作ろうとする株式会社の商号を書いておけばわかりやすいですね。

 「嘱託人情報」の「氏名」は,嘱託人(電子定款の署名者)が複数いる場合も代表者一人の氏名を記入してください。

 「法務局」・「公証役場」を選択し,「公証人」の「選択してください」をクリックしますと,その下に新宿公証役場の公証人四名の氏名がプルダウンメニューで表示されますので,あらかじめ公証役場と打ち合わせで決まった担当の公証人名を選択してください。

 「公証役場で文書を保存する」のところは,初めからチェックが入っています。このチェックを外しますと,電子定款などは公証人の手許に保存されなくなりますので,通常はこのチェックはしたままにしておいてください。。

 公証人を選択しますと,次の画面に進みます。
 これは電子定款の認証を求める電子申請書作成の画面です。



 この画面から「ファイル添付」で,電子署名済みの電子定款ファイルが保存されている場所から電子定款のファイルを指定します。
 その後,「署名付与」で,嘱託人が電子署名します。電子定款に続いて2回目の電子署名ですね。
 嘱託人(定款に嘱託人として電子署名している人)が複数いる場合も,そのうち一人が代表して電子署名してください。

 これでオンライン申請の準備は全部整いましたので,「申請データ送信」をクリックして公証人充に電子定款を送信してください。
 送信後,電子定款が公証人のパソコンで受信できるようになるまでは15分くらいのタイムラグがあります。


 わかりました。
 
 では,この場でオンライン申請してみます。

・・・・・
 できました!!

 その後の手続を教えてください。
 家でオンライン申請したという普通の場合を例にして教えてください。


 嘱託人が発起人ご本人の場合,約束した日時に住基カードや運転免許証のような身分証明書と,認証した電子定款ファイルなどをコピーするCDなどの記録媒体をお持ちになって公証役場にお出でください。
 嘱託人が記録媒体を持参して公証人に提出しなければならない,ということは先ほどの省令で定められています。

 嘱託人ご本人がお出でになれない場合は代理人の方でも結構ですが,その場合,ご本人の委任状が必要です。

 お持ちいただく記録媒体は
 
CD-R
 CD-RW
 USB
 フロッピーディスク

のいずれかに限られています。これは先ほどの省令による告示で定められています。

 公証人は,お見えになった嘱託人又は代理人から,直接,次の三点を確認させていただきます。
 ・お出でになった方が嘱託人又は代理人ご本人かどうか
 ・電子定款に付された電子署名が嘱託人自身の電子証明書によるものであること
 ・
電子署名が嘱託人自身の手で行われたこと

 この確認をしてから,公証人は届いている電子定款に必ず公証人自らの手で電子署名して認証を行います。

 もちろん,先ほどご説明したように,公証人は,電子定款に付されている電子署名が嘱託人の電子証明書によりなされたものであるかどうかをあらかじめ確認しています。

 認証後,その場で,
電子定款・認証文ファイル(電子公文書)など三つのファイルが保存されているホルダーを嘱託人が持参したCDなどにコピーしてお渡しします。
 また,ご希望により,同時にペーパーベースの定款の謄本をお渡しします。お渡しする用紙はA4版かB4版です。この用紙の大きさは先ほどの省令で定められています。

 もし,同時にペーパーベースの謄本を受け取らずに,日を改めて謄本の申請をするとなりますと,オンライン申請していただかなくてはなりません。
 これを「
同一情報の提供」といいます。

 電子定款の認証手数料などは次のとおりです。
認証手数料 5万円
情報保存料 300円
同一情報の提供 一通につき700円
同一情報の用紙代 一枚につき20円


 認証していただくときに,嘱託人が公証役場まで行かなければならないのはどうしてですか?


 嘱託人の立場からすると,せっかくオンライン申請したのだから,認証後の電子定款などもオンラインで返してもらいたい,という気持ちになるのは分からないではありません。
 しかし,認証を受けるときに嘱託人に公証役場に来ていただくというのは,きちんとした理由があり,しかも
大変重要なことなのです。

 「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部を改正する省令案に対するパブリックコメントと回答」で,法務省が見解を明らかにしています。
 大切なところですので,次にその全文をご紹介します。

 回 答

 公証人の行う認証とは,文書又は電磁的記録に記録された情報の作成名義人が文書にした署名若しくは押印又は情報に付した電子署名が,作成名義人本人の意思に基づくものであることを証明することを意味します。
 私文書又は私人が作成した電磁的記録が真正に成立したものである(すなわち,作成名義人本人の意思に基づいて作成されたものである)ことは,文書であれば署名又は押印があること,電磁的記録であれば電子署名が行われていることにより,それぞれ推定されることになります(民事訴訟法第228条第4項,電子署名及び認証業務に関する法律第3条)。 しかしながら,これらの推定は,その前提事実として,署名若しくは押印又は電子署名が,作成名義人本人の意思に基づいてされていることを前提とするものです(署名押印につき,最判昭和39・5・12民集18巻4号597頁参照)。文書にされた署名押印については,作成名義人の印鑑による印影であることが認められれば,印鑑はその名義人が十分な管理を行っているはずであるとの経験則に基づいて,事実上,作成名義人の意思に基づいて押印されたものであると推認されることになりますが(前掲最判昭和39・5・12参照),事実上の推定に頼らずに,署名押印が作成名義人本人の意思に基づいてされたことを証明する手段として,公証人による認証があるのであり,その本質は,公証人の面前で,署名押印をしたことを作成名義人本人が陳述し,これを公証人が証明するところにあるのです。
 電子署名については,印鑑による印影について認められるような経験則が訴訟において認められた実例が見当たらないところであり,場合によっては,作成名義人本人の意思に基づくことが争点とされた場合には,検証又は鑑定などの証拠調べによって立証することが必要とされます。
 これに対して,公証人の認証を受けた電磁的記録であれば,作成名義人本人の意思に基づいて電子署名が行われたことが,公証人の面前における本人の陳述によって証明されていますので,電磁的記録の真正な成立について争いが生ずる余地がほとんどないということができます。 
 このように,公証人の面前における認証の手続が,後日の紛争を回避する上で重要な役割を果たすという点において,文書の場合と電磁的記録の場合とで変わりがありません。したがって,電磁的記録の認証の付与の嘱託に際して,指定公証人の面前における嘱託人又はその代理人の陳述を,指定公証人が証明するという手続を廃止することは,考えられません。
 なお,電磁的記録の認証の嘱託のほとんどが,司法書士,行政書士等の代理人により,しかも事務員による使者形式で行われているとは承知していませんが,そのような事実がある場合には,公証人による作成名義人本人の意思に基づくものによるかどうかの確認がされていないこととなりますので,その嘱託に基づく認証は無効となります。

 


 わかりました。

 それから教えてください。
 いま頂いたCDの中身を見たのですが。公証人の電子認証をいただいた電子定款や認証文ファイルのどこを見ても公証人の電子署名が見当たりません。
 
公証人が電子定款に電子署名したことはどうやって確かめたらよいのですか?


 おっしゃるとおり,お渡ししたCDの中のファイルのどこを見ても公証人が電子署名したという形跡が見当たりませんね。
 不安に思われるのもごもっともです。

 でも,ご安心ください。ちゃんと公証人が電子署名したことを検証する方法があるので,お教えしましょう。
 
申請用総合ソフトを立ち上げてください。
 「ツール」をクリックすると「
電子公文書の検証」というボタンが表示されますね。
 これをクリックします。
 すると,「公文書の選択」が求められますから,おもちのCDをディスクドライブに入れて電子定款などが格納されている
ホルダーを指定してください。 ファイル名ではありません。数字がずらっと並んでいるホルダーです。

 指定したら,「
電子公文書検証」をクリックしてください。
 公文書検証が始まります。これが終わりますと,次の画面が表示されて,公証人が電子署名していることが確認できます。




 ちょっと見えにくいかもしれませんが,画面の上の方には次のように表示されています。

電子署名検証結果 電子公文書の内容は,変更・改ざんされていません。
電子証明書検証結果 OK この電子署名には,有効な電子証明書が使われています。

 表示は略しましたが,実際には,この略した部分に電子認証した公証人が誰であるか,というような情報が表示されています。
 これで,公証人の電子署名が有効にされているかどうか,誰でも確認できますね。


 なるほど。

 これまでのご説明は,電子署名する人が自分で電子認証を嘱託する場合のことですね。

 では,私,新宿一郎が,友人の池袋二郎と一緒に発起人になって二人とも定款に電子署名する場合,何か違うところはあるのでしょうか?


 その場合,注意しなければならないのは,先ほどご説明しましたように,オンライン申請の場合はどちらかお一人の名前で申請用総合ソフトの申請書に電子署名していただくことになっている点です。
 それ以外に特に違いはありません。
 もちろん,新宿さんも池袋さんもそろって公証役場に来ていただいて,公証人に,直接,自分の電子証明書で電子定款に電子署名したこと,電子署名は自分自身でしたことを述べていただかなくてはなりません。


 ついでに教えてください。
 電子証明書を持っていない人が,誰か電子証明書を持っている人に頼んで電子認証の手続き依頼することはできるのですか?


 行政書士や司法書士の方が,発起人から依頼を受けて電子認証の嘱託人となる場合などですね。

 この場合,嘱託人は,発起人から電子定款作成と電子認証手続などの委任状をもらって公証人に提出します。
 
この委任状には,定款全文が添付されていなければなりません。委任状と定款全ページの間には実印による割り印をしてください。
 どのような会社を作るのかは発起人の考えで決まるのですから,委任状に発起人作成(発起人が嘱託人と相談して作成することが多いでしょう。)の定款案が添付されていないと嘱託人が発起人の考えと違う機関設計した会社を作ってしまう可能性があるからです。
 公証人は,発起人でない嘱託人が電子認証を求めてきた場合は,この委任状に添付されている定款案と電子定款の内容は厳密に照合します。
 それ以外は,電子署名や電子認証の手続に特に違いはありません。

 電子認証の場合でも,単に認証を受けるだけの代理人として公証役場に見える場合であれば,委任状には定款を添付する必要はありません。

 また,行政書士の方などがペーパーベースの定款を公証役場にお持ちになる場合は,既にできあがっている定款の認証を得るだけの委任を受けてお見えですので,この委任状には定款を添付する必要はありません。
ここが電子定款とペーパーベースの定款の違うところですね。
 また,委任状ですから,どちらの場合も,委任者つまり発起人の印鑑登録証明書(3か月以内に発行のもの)を提出していただきます。


 わかりました。
 またわからないことがあったら教えてください。