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私は貸しビル会社を経営しています。
今度新らしくテナントに入ってもらう人と賃貸借契約を結ぶのですが,それを公正証書にしていただきたいのです。
私は忙しいので公証役場には代理人に行ってもらうつもりですが,どのような書類を用意すればよいのでしょうか?
公正証書を作っていただく手順はそちらの公証役場のホームページを見ましたのでわかっています。
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では,賃貸借契約書のコピーをお届けください。
お使いの方に持ってきていただいてもファクスで送信されても結構です。
それからどなたか契約内容をよくご存じの方に一度当役場に来ていただいてお客様と賃借人の方のご意向を詳しく公証人にご説明いただきたいのです。
その契約内容に従って公証人が公正証書を作成します。
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賃貸借契約書は市販の用紙を使って作ってありますのでその写しをお届けします。
私の代理人に予定している社員に持たせます。
契約内容はこの者が実務担当者ですのでよく知っていますから公証人にご説明させます。
公正証書をいただくときに賃貸人と賃借人が公正証書に署名押印すると聞いていますが,代理人を差し向けるときの手続きや必要書類について教えてください。
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お客様が当役場においでいただけないということですので,お客様の代理人の方に来ていただいて公正証書の内容を確認していただき,賃借人の方と一緒に署名押印をしていただくことになります。
大事なことは,
代理人はどなたでもよい,というわけではないこと |
お客様が作成した委任状を代理人の方に持たせていただく |
ということです。
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社長である私の代理人はうちの社員を予定していますが,賃借人は高齢ですのでたぶん公正証書を頂きにあがるときに代理人を差し向けることとなりますが,誰になるか聞いていませんので,代理人を選ぶときの注意事項を教えてください。私から賃借人に伝えます。
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当役場のホームページのケーススタディ「公正証書の流れ」のところでもご説明してありますが,同じ方が賃貸人と賃借人の双方の代理人を兼ねることはできません。
また,賃貸人ご本人が同時に賃借人の代理人となったり,逆に賃借人ご本人が同時に賃貸人の代理人となることもできません。
お客様の場合でしたら,お客様の会社の代理人となる社員とは別の社員の方が賃借人の代理人になることは構いません。
ただ,ご注意願いたいのは,お客様が賃借人の方のためにお客様の会社の社員を代理人として斡旋してもよいというのは,実は,どんな契約についても言えることではありません。
例えば,金銭消費貸借契約で貸金業者の方が貸し主になる場合にはあてはまりません。
貸金業法により,貸金業者の方が債務者の代理人の選任について仲介や斡旋などの関与をしたり,債務者から委任状を預かってはならないことになっているからです。
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わかりました。
賃借人の方が代理人となってくれる方のあてがなければ私の会社の別な社員を代理人に紹介しましょう。
では,代理人に持たせる委任状の作り方とほかに必要書類があれば教えてください。
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まず委任状についてご説明します。
委任状は,お客様が代理人の方に法律上の権限を与えることを証明する文書です。
お客様ご本人が公証人に契約内容のご説明ができないのですから,代理人の方に契約内容をご説明願わなければなりません。
ですから,代理人の方のおっしゃることがお客様のご意思どおりであることを公証人が確認できなければなりませんので委任状が必要なのです。
その確認の方法として,委任状に契約内容を明らかにする書面,例えば賃貸借契約書ができていればその写し,もしできていなければ,契約内容を詳しく書いた書面を添付していただいて委任状本体とその書面の各ページにお客様の会社の代表印で割り印をしていただきたいのです。
委任状本体とその書面が袋とじされていれば製本テープと委任状本体に1か所割り印していただければ結構です。
これらの措置は契約内容を書いた書面が差し替えできないようにするためです。
委任状本体には会社の商号,本店所在地,代表取締役名を書いてください。ワープロでも構いません。そして代表取締役名の後にお客様の会社の代表印を押していただき,欄外に捨て印を押してください。
捨て印は軽微な誤字脱字を変更するために必要です。
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代理人の説明だけではダメなんですか。
委任状に賃貸借契約書の写しまで付けなければいけないのですね。
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ご本人のご意思どおりの公正証書を作るためにそうしていただいています。
代理人の方のご説明だけですと詳しい契約内容が正確に公証人に伝わるか不安ですし,契約内容が書かれていない委任状ですといわゆる白紙委任状になってしまい,お客様のご意思とは違う公正証書が作成されかねないため,このようなお願いをしています。
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わかりました。
それなら私も安心して代理人を差し向けることができるというものですね。
では,委任状のサンプルのようなものはあるのでしょうか。
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当役場でお使いいただいている委任状のサンプルが当役場のホームページにございますので,ご紹介します。
サンプルファイルは一太郎というワープロで作成されています。
委任状を作成する上でご注意いただきたいことも記載してあります。
お客様のパソコンに一太郎がインストールされていれば,左クリックするだけで中身を読むことができます。
委任状をお作りの際はこのファイルをダウンロードしてお使いくださって結構です。
一太郎のロゴを右クリックして 「対象をファイルに保存」 をクリックすればダウンロードできます。
WORDをお使いの方も同じ方法でダウンロードすれば一太郎文書でもWORDで読み込めますのでお使いになれます。
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法人用委任状 |
個人用委任状 |
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法人用委任状 |
個人用委任状 |
次に委任状のほかに必要な書類についてご説明します。
お客様ご本人はおいでになりませんので代理人の方にお持ちいただく書類などを申し上げます。
代表者の印鑑証明書 |
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)又は代表者事項証明書 |
代理人の身分証明書,例えば次のどれかひとつ
印鑑証明書(実印をご持参ください) |
運転免許証 |
パスポート |
写真付きの住民基本台帳カード |
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代理人の認め印(印鑑証明書で身分証明をされた場合は実印) |
印鑑証明書,履歴事項全部証明書,代表者事項証明書は発行から3か月以内ものをご用意ください。
代理人の身分証明書は人違いを避けるために,写真がついていない健康保険証や住民票ではだめです。
当役場のホームページの公正証書の作成の流れでもご説明してありますが,委任状とこれらの書類は,公正証書をお渡しする前にお届けいただきたいのです。
公証人がこれらの書類を点検してその内容を公正証書に盛り込まなくてはなりませんのでご協力をお願いします。
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わかりました。
できるだけ早くお届けするようにします。
賃借人の代理人のことですが,賃借人本人が会社でなく個人の場合,今のご説明とどこか違うところがあるのでしょうか。
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賃借人が会社でない個人でしたら,今ご説明したことと違うのは,委任状と一緒に提出していただく必要書類が,履歴事項全部証明書,代表者事項証明書,会社の代表者の印鑑証明書ではなく
になるということだけです。この印鑑証明書も3か月以内に発行されたものをご用意ください。
委任状の作り方も先ほどご説明したことと同じです。
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個人が作成した委任状に本人の身分証明書が必要というのはわかりますが,どうして印鑑証明書でなくてはいけないのですか?
運転免許証や旅券でもその写しを代理人が持って行けば本人が委任状を作成したことがわかると思うのですが。
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よく委任状を作成したご本人の身分証明書として運転免許証や旅券などでもよいか,というお問い合わせがありますのでご説明します。
公証人法という法律で,委任状は,「官公署の作成した印鑑又は署名に関する証明書」を提出していただいて真正であることを証明していただかなければならないことになっているのです。
この印鑑に関する証明書が印鑑証明書です。
運転免許証や旅券などでは印鑑や署名に関する証明書にはならないのです。
運転免許証や旅券の写しを見せていただいても,果たして委任状の署名が委任者ご本人のものか公証人にはわかりませんので。
委任状と印鑑証明書はセットだとお考えになってください。
賃貸借契約の詳しい内容や法律上の問題点などにつきましては公証人がご相談にあずからせていただきます。
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よくわかりました。
賃借人にもできるだけ早く書類をそろえて公証役場にお届けするよう伝えます。
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