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知人にお金500万円を貸すことになったので公正証書を作っていただきたいと思っています。
証書ができたところでお金を貸そうと思いますが,できるまでにどのくらい時間がかかるんですか?
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お金の貸し借りの公正証書は,原則として,まず,貸し借りが実行されたことが確認されてから作成することになります。
公正証書はご依頼を受けた順番に作成しております。
公正証書は公証人がお客様から証書に盛り込む内容をお伺いして作成します。
繁忙の度合いにもよりますが,ご依頼を受けて必要書類が整った後,数日から1週間程度のお時間をいただいて公正証書を作成しています。
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そうですか。
公正証書には私たちも署名かなんかするんですか?
印鑑も用意しなくてはいけないんでしょうね。
手数料はいつ払うかもまず教えてください。
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公正証書をお渡しするときに,貸し主の方と借り主の方に公正証書の内容を確認していただき,間違いないことを確認していただけましたら公正証書に署名と押印をしていただきますので,お二人そろっておいでいただくことになります。
そして公証人も署名押印して公正証書が完成することになります。
貸し主の方と借り主の方の印鑑は,身分証明を印鑑証明書でしている場合は実印が必要です。
それ以外の運転免許証などで身分証明をしている場合は認め印で結構です。
こうしてできあがった公正証書をお客様にお渡しし,そのときに手数料等を現金でお支払いいただきます。
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公正証書って私たちが作った書類に公証人がハンコを押してできあがるものと思っていました。
公証人が作るんですね。
公正証書を作ってもらうために盛り込んでもらう内容をあらかじめ公証人に説明しなければならないことはわかりました。
その説明ですが,電話やファクスだけで依頼内容を説明してあとは公正証書を取りに行くだけ,というわけにはいかないんですか?できれば一度の手間で済ませたいんですが・・・
もし,説明のために事前に直接公証役場に行かなければならないとして,そのとき,借り主も一緒に行かなくてはいけませんか?
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お電話や書類のやりとりだけですと金銭の貸し借りの詳しい内容が正確に把握できませんし,公証人から公正証書に盛り込む内容についていろいろ確認したいことがあると思いますので,一度はおいでいただきたいのです。
普通ですと一度おいでいただいたときに公正証書をお渡しする日にちをお約束できます。
公正証書は,貸し主の方と借り主の方との間で返済条件や利息などについてお話し合いができていなければ作れません。
そのお話し合いの内容に従って公正証書を作りますので,原則として事前に貸し主の方と借り主の方双方にお出で頂く必要があります。ただ,やむを得ない場合には契約の内容をご説明いただけるお客様お一人から契約内容をお伺いして公正証書を作成することもありますが,この点についてはあらかじめ電話などで公証人に確認してください。
当事者のほか,もしほかに事情をよくご存じの方がいれば貸し主の方と借り主の方の代わりにおいでいただいても結構です。ご両人が高齢とか遠隔地などの場合は,打ち合わせの段階から弁護士さんなどが代理人がお見えになることもあります。
しかし,正式に代理人となる場合は,貸し主の方と借り主の方はそれぞれ別の方に代理人をお願いしなくてはなりません。
同じ方が貸し主の方と借り主の方双方の代理人を兼ねることはできません。
また,貸し主の方が借り主の方の代理人なったり,逆に借り主の方が貸し主の代理人になることもできません。
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確認ですが,まず公証役場へ行って公証人に返済期日などお金の貸し借りについての詳しい説明をして必要書類を渡し,公正証書を作ってもらうことを依頼し,2回目に公証役場へ行って公正証書を受け取るということですね。
では,これから公証役場に行きますが,どのような書類を用意して行けばよいのでしょうか?
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公正証書をお渡しするときには,貸し主の方と借り主の方とが公証人の作った公正証書を読んで間違いないことを確認してから公正証書の末尾にそれぞれ署名押印をしていただきます。
ですから,公正証書をお渡しするときに署名押印される方が貸し主の方と借り主の方それぞれご本人か,代理人の方かで必要書類が違ってきます。
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代理人が打ち合わせのときだけでなく署名押印して公正証書を受け取ってもよいのですね。
私の場合は,私も借り主も本人が公証役場に行って公正証書に署名押印する予定です。
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その場合でしたら,これからおいでになるときに,お持ちいただきたい書類をご説明します。
まず,貸し主の方と借り主の方との間でお金の貸し借りの条件について話し合った内容が契約書のような形でできあがっていればそれをお持ちください。
もし,書面を作っていなければ返済条件や利息などの取り決め内容をメモにしてご持参ください。
口頭だけの御説明ですと間違いが生じやすいため,おいでいただく前にメモの内容を借り主の方に確認してもらってください。
次に,必要なのは貸し主の方と借り主の方の身分証明書です。
普通ご持参いただいている身分証明書は
印鑑証明書(実印をご持参ください) |
運転免許証 |
パスポート |
写真付きの住民基本台帳カード |
といったもののどれかです。
人違いを避けるために,写真がついていない健康保険証や住民票ではだめです。
印鑑証明書であれば発行から3か月以内のものを提出してください。
それ以外の身分証明書は,こちらでコピーをとらせていただいてお返しします。
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身分証明書は署名押印する当日に持参してはだめでしょうか?
私はこれから運転免許証を持参して行けますが,今日中に借り主から身分証明書を借り出すのは無理なんですが。
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2回目においでいただくときは,公正証書は貸し主の方と借り主の方に内容を確認していただいて署名押印をしてもらってお渡しするだけになっています。
そのため,事前にお二人の氏名・住所・生年月日を身分証明書をもとにして公正証書に記載しておかなければなりませんので,どうしても署名押印の日より前に身分証明書を公証人が確認しておかなければならないのです。
ですから,これからおいでいただくときに借り主の方の身分証明書のコピーをご持参いただけませんでしょうか。
もし,間に合わなければ,ファクスで結構ですから署名押印予定日より前に身分証明書の写しをお送りいただきたいのです。
コピーをいただいたりファクスを送っていただいた場合であっても,身分証明書の現物は必ず署名押印の当日にご持参ください。
公証人は必ず身分証明書の現物を確認しなければならないことになっていますので。
またお二人のご職業も公正証書に記載しますので事前にお教えください。
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わかりました。
借り主の身分証明書はできるだけ早くファクスでお送りして,現物は署名押印当日に持参させます。
たぶん借り主は住基カードで身分証明すると思います。
ところで,公正証書を作っていただく料金はおいくらでしょうか?
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料金は,「公証人手数料令」という政令で決められています。
これによりまして貸借の金額により手数料の金額が決まります。
お客様の場合はお貸しする金額が500万円ということですので,基本手数料が11,000円となります。
これに公正証書の用紙の枚数により,別途費用がかかります。実際に公正証書を作り終えて用紙の枚数が確定したときに正確な金額が決まります。
手数料に消費税はかかりません。
これらは証書をお渡しするときに現金でお支払い願います。
ほかに,金銭消費貸借契約公正証書ですので,2,000円の収入印紙が必要になります。これはお客様がご用意ください。郵便局でお買い求めできます。
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私と借り主が公正証書に署名押印するということですが,印鑑は実印でなければなりませんか?
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印鑑証明書で身分証明をされた場合は必ず実印で押印していただきます。
それ以外の運転免許証等で身分証明された場合は,認め印で結構です。ただし,朱肉をつけて押印していただく印鑑でなければなりません。
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最後にお聞きしたいのですが,できあがった公正証書は誰が保管するのですか?
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お客様に署名押印していただいた公正証書は「原本」と申しまして,私どもの役場で20年間大切に保存させていただきます。
貸し主であるお客様にはその写しである「正本」をお渡しします。
写しと申しましても,この「正本」により強制執行の手続きをしますので大事に保管してください。
また,借り主の方には通常「謄本」という写しをお渡ししています。
以上で,公正証書作成の流れと必要書類を御説明させていただきました。
証書に盛り込む詳しい内容や法律上の問題点などにつきましは,お客様が公証人に直接ご相談ください。
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